介護や障がい福祉にたずさわる方へ

介護職員の人手不足、北摂地域の現状と対策とは?介護事業所が取り組むべき人材確保・定着のポイント

介護業界では、以前から「介護職員の人手不足」が大きな課題となっています。

特に大阪府北摂地域では、高槻市、茨木市、吹田市、豊中市、箕面市、池田市など、多くの地域で高齢者の生活を支える介護サービスが必要とされています。

一方で、介護サービスを提供する事業所では、「求人を出しても応募がない」「せっかく採用しても長く続かない」

「職員が不足して新規利用者を受け入れられない」「管理者や現場職員の負担が大きくなっている」

といった問題が起こっています。

介護職員の人手不足は、単純に「職員を募集すれば解決する」という問題ではありません。

これからの介護事業所には、採用・定着・業務改善・職員育成を一体的に考えることが求められています。

今回は、北摂地域における介護職員の人手不足について、その背景と具体的な対策を解説します。


北摂地域でも介護人材の確保は重要な課題

大阪府全体で見ると、介護人材の不足は今後さらに深刻になることが予測されています。

大阪府の「大阪府高齢者計画2024」では、2026年に必要となる介護人材が約21万5千人であるのに対し、供給される人材は約19万1千人と推計されています。

つまり、約2万4千人の需給ギャップが見込まれています。

さらに2030年には、必要となる人材が約22万9千人に増える一方、供給は約18万8千人とされ、約4万1千人の不足が見込まれています。

この数字からも、介護人材の確保は一時的な問題ではなく、今後の介護事業所の経営を左右する重要なテーマであることが分かります。


北摂地域では高齢者を支える介護サービスが必要

北摂地域には、豊中市、吹田市、高槻市、茨木市、池田市など、多くの人口を抱える自治体があります。

大阪府社会福祉協議会が公表している地域データを見ると、高槻市では65歳以上人口が約10万人、豊中市では約10万5千人、吹田市では約9万1千人、茨木市では約6万9千人となっています。

もちろん、65歳以上人口が多いからといって、そのまま介護職員の必要数になるわけではありません。

しかし、在宅介護、通所介護、訪問介護、認知症対応型共同生活介護、特別養護老人ホームなど、さまざまな介護サービスを必要とする人が地域に存在していることは確かです。

そのため、介護サービスの需要に対して、介護職員をどのように確保していくかが北摂地域の介護事業者にとって重要な課題となります。


なぜ介護職員が不足しているのか?

介護職員の人手不足には、いくつもの原因があります。

1.働き手そのものが減少している

介護業界だけではなく、日本全体で労働力の確保が難しくなっています。

特に若い世代の人口が減少していく中で、介護業界だけが人材を確保することは簡単ではありません。

一般企業との人材獲得競争も激しくなっており、「介護の仕事だから人が来る」という時代ではなくなっています。


2.介護の仕事に対するイメージ

介護の仕事には、「体力的に大変」「夜勤がある」「給料が安い」「仕事が忙しい」「人間関係が難しそう」

といったイメージを持っている人もいます。

実際には、介護職にはさまざまな働き方があり、訪問介護、通所介護、グループホーム、施設介護など、それぞれ仕事内容も異なります。

しかし、介護業界で働いた経験がない人にとっては、その違いが分かりにくいことがあります。

そのため、求人広告では単に「介護職員募集」と掲載するだけではなく、

「どのような利用者を支援するのか」「1日の仕事内容はどうなっているのか」「どのような職員が働いているのか」

「未経験でも働けるのか」などを具体的に伝えることが重要です。


3.採用しても定着しない問題

介護職員の人手不足を考えるとき、「採用人数」だけを見るのは危険です。

例えば、5人採用しても、その後に4人が退職すれば、人手不足は解消されません。

むしろ採用活動や新人教育にかかった時間や費用が無駄になってしまいます。

そのため、これからの介護事業所では、「採用すること」だけではなく「長く働いてもらうこと」

が非常に重要になります。


4.ベテラン職員への負担が増えている

人手不足になると、残っている職員に仕事が集中します。

その結果、

・残業が増える
・休みが取りにくくなる
・新人教育の時間がなくなる
・管理者の負担が増える
・職員の不満が増える
・さらに退職者が出る

という悪循環が発生する可能性があります。

「人が足りないから頑張ってもらう」という方法だけでは、長期的な解決にはなりません。


北摂地域の介護事業所が取り組みたい人手不足対策

では、介護職員の人手不足に対して、事業所は何をすればよいのでしょうか。

ここでは、実際の事業運営を考えた具体的な対策をご紹介します。


対策① 求人内容を見直す

まず取り組みたいのが求人内容の見直しです。

「介護職員募集」「正社員募集」「パート募集」だけでは、求職者に事業所の魅力が伝わりません。

例えば、

・未経験者歓迎
・資格取得支援あり
・短時間勤務可能
・子育てとの両立が可能
・夜勤回数の相談可能
・残業が少ない
・研修制度あり
・管理者を目指せる
・職員同士のコミュニケーションを大切にしている

など、自社の特徴を具体的に掲載することが重要です。


対策② 「どんな職場なのか」を見える化する

求職者が知りたいのは、給与だけではありません。

むしろ、「どんな人が働いているのか?」「職場の雰囲気はどうなのか?」「忙しすぎないか?」

「未経験でも大丈夫なのか?」という点を気にする人も多くいます。

そのため、ホームページでは職員紹介、1日の仕事の流れ、研修の様子、事業所内の写真などを掲載することをおすすめします。

求人票だけでは伝えきれない情報をホームページで補うことで、応募前の不安を減らすことができます。


対策③ 未経験者を採用する

介護職員の採用では、「経験者だけを採用する」という考え方から少し視点を変えることも必要です。

介護業界未経験の人材であっても、「人と接することが好き」「高齢者の役に立ちたい」

「新しい仕事に挑戦したい」という人はいます。

そうした人材を採用し、入職後に研修やOJTを行いながら育成する仕組みを作ることが重要です。

特に小規模な介護事業所では、「未経験者を採用したいが教育する余裕がない」という問題もあります。

だからこそ、教育内容をあらかじめマニュアル化しておくことが大切です。


対策④ 子育て世代や中高年層にも目を向ける

介護人材を確保するためには、求人対象を広げることも有効です。

例えば、

・子育て中の人
・中高年の人
・定年後に働きたい人
・短時間勤務を希望する人
・介護資格を持っているが現在介護職をしていない人

などです。

特に介護業界では、フルタイム勤務だけでなく、短時間勤務や曜日限定勤務など、柔軟な働き方を設けることで人材確保につながる可能性があります。


対策⑤ 「辞めない職場」を作る

採用活動と同じくらい重要なのが、職員の定着です。

例えば、

職員同士が相談しやすい環境

困ったときに誰にも相談できない職場では、職員の不安が大きくなります。

日頃から職員同士が話しやすい環境を作ることが重要です。

管理者が現場の状況を把握する

管理者が現場の負担を把握していないと、

「なぜ辞めたのか分からない」

という状態になってしまいます。

定期的に職員と面談するなど、現場の声を聞く仕組みを作ることが大切です。

休みを取りやすくする

人手不足だからこそ、職員が休める仕組みを考える必要があります。

「休みたいけれど言い出せない」という職場環境は、長期的な定着につながりません。


対策⑥ 業務の効率化を進める

介護職員を増やすことだけが、人手不足対策ではありません。

現在働いている職員が、本来の介護業務に集中できる環境を作ることも重要です。

例えば、

・記録業務の効率化
・ICTの導入
・情報共有方法の見直し
・書類の簡素化
・ケアプランデータ連携システムの活用
・業務分担の見直し
・介護助手の活用

などが考えられます。

大阪府でも、ケアプランデータ連携システムの活用を促進する取り組みが行われており、豊中市、吹田市、茨木市、枚方市などでもモデル地域としての取り組みが行われています。


対策⑦ 処遇改善を「給与」だけで考えない

介護職員の定着を考える場合、給与面はもちろん重要です。

しかし、それだけではありません。

例えば、

・資格取得を支援する
・研修を充実させる
・キャリアアップの道筋を示す
・役割に応じた評価制度を作る
・有給休暇を取得しやすくする
・希望休を取りやすくする
・子育てと仕事を両立しやすくする

など、働き続けやすい環境を整えることも重要です。

「この職場なら長く働けそう」と思ってもらえることが、人材定着につながります。


北摂地域では「事業所同士の連携」も重要

今後は、介護事業所が単独で人材確保を行うだけではなく、地域で連携するという考え方も重要になるでしょう。

例えば、

・合同説明会
・合同研修
・地域での介護職向けイベント
・情報交換会
・資格取得支援に関する情報共有

などです。

北摂地域には多くの介護・福祉事業所があります。

それぞれの事業所が競争するだけではなく、地域全体で介護人材を育成し、介護という仕事の魅力を発信していくことも、長期的な人材確保につながります。


人手不足だからこそ「経営」の見直しも必要

介護職員が不足すると、事業所の経営にも影響します。

例えば、職員不足によって利用者の受け入れを制限すると、売上にも影響します。

さらに、残業代や採用費用が増えたり、管理者が現場業務に追われて経営に時間を使えなくなったりすることもあります。

そのため、

「人手不足=採用の問題」

だけではなく、

「人手不足=経営課題」

として考える必要があります。

実際、豊中市では、介護人材不足や物価・人件費上昇などによって小規模事業所を中心に経営環境が厳しくなっていることを踏まえ、介護報酬上の加算取得を支援する取り組みが行われています。

また、吹田市でも2026年度に、職場環境改善や生産性向上、介護職員等処遇改善加算などをテーマとした事業者向け支援が実施されています。

こうした制度も活用しながら、採用だけでなく事業所全体の運営を見直すことが重要です。


「人がいないから仕方ない」ではなく、今から準備する

介護職員の人手不足は、今後さらに大きな課題になる可能性があります。

大阪府の推計でも、2030年には約4万1千人の介護人材が不足するとされています。

だからこそ、

「求人を出して応募を待つ」

という採用方法だけではなく、

採用する

育成する

定着してもらう

働きやすい環境を作る

業務を効率化する

という仕組みを事業所として作ることが重要です。


これからの北摂地域の介護事業所に求められること

これからの介護事業所に必要なのは、「人を集める力」だけではありません。

人が働きたいと思える職場を作る力

が重要になります。

介護職員が、

「ここで働いてよかった」

「この職場なら長く働ける」

「もっと介護の知識を身につけたい」

と思える環境を作ることが、結果的に利用者へのサービス品質向上にもつながります。

北摂地域には、高槻市、茨木市、吹田市、豊中市、箕面市、池田市など、多くの介護サービス事業所があります。

地域の高齢者が住み慣れた場所で安心して生活を続けるためには、介護サービスを提供する「人」の存在が欠かせません。

だからこそ、介護職員の人手不足は、一つの事業所だけの問題ではなく、地域全体で考えるべき課題です。


まとめ

介護職員の人手不足は、北摂地域の介護事業所にとって今後ますます重要な経営課題となります。

人材確保のためには、

・求人内容を見直す
・職場の魅力をホームページなどで発信する
・未経験者や中高年など採用対象を広げる
・子育て世代が働きやすい環境を作る
・職員の定着率を高める
・研修やキャリアアップ制度を整える
・ICTや業務改善によって職員の負担を減らす
・処遇改善や各種加算を適切に活用する
・地域の事業所同士で人材確保について連携する

といった複数の取り組みを組み合わせることが重要です。

「人がいないから採用する」のではなく、

「人が働き続けたいと思える介護事業所を作る」

という視点に変えていくことが、これからの北摂地域における介護人材確保の大きなポイントになるでしょう。

介護事業所の人材確保や定着、業務改善についてお悩みの場合は、自事業所の課題を一つずつ整理し、採用・育成・定着・業務改善を一体的に見直していくことをおすすめします。


関連記事

  1. 介護保険サービスの「地域密着型」とは?~北摂エリアで進む“地域に根ざした介護”のかたち~

  2. 初めての介護サービス利用、どこに相談すればいい?介護保険の相談先と利用までの流れを分かりやすく解説

  3. 北摂エリアで人気の「地域密着型通所介護」とは?

  4. グループホーム選びで失敗しないためのチェックポイント~北摂エリアで安心できる「第二の我が家」を見つけるために~

  5. 認知症共同生活介護(グループホーム)って何?~認知症の方が「家庭的な環境」で暮らす場所~

  6. 地域密着型通所介護と通所介護の違い|北摂の介護をわかりやすく解説

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。